【ショートショート】2040年ニューノーマルの時代


大学のリポートで、BC(ビフォーコロナ)時代のことについて
調べている。

BCの時代は、みんな普通に家の外を歩いていたと知って
驚いた。

sponsoredlink

当時は、家の外に「道」というものがあり、
特に許可がなくても、だれでも歩くことができたそうだ。

そもそも、学校や会社が、今のようにオンラインではなく
実際に人間が集まって運営されていたと聞いた。

10年ほど前、私がまだ子どもだった頃に
「道」は閉鎖され、特別な許可なしには家の外へ
出ることは禁止となったので、
昔は実際に人々が集まっていたというのは驚きだ。

そのころ、自動車というものもあったそうだ。
現在では、自動車は競走馬などと同様、
富裕層のみが所有し、
僕たちは、競馬場のような場所(サーキット)を
自動車が走っているのを
画面越しに見るだけだ。

リポートの調査を進めるにつれ、
BCの時代の「婚活」という文化にも驚いた。

僕たちの時代で婚活にあたるものといえば
子孫繁栄行為にあたる。

現在は、子どもが欲しくなったら、
まずは新厚労省が運営する子孫繁栄センターへ
自宅から申請する。

受付が受理されると、
警察省が、申請者が親になる資質が十分に
あるかどうかを調査、判定する。

この辺り、ザ・縦割り行政って感じだ。
ちなみに、2020年代に、
大学入試改革、教育改革と失敗が続いた
文科省は解体され、
今では新経済産業教育省のいち部局となっている。

その後、無事に、親になる判定に合格となると、
精子を子孫繁栄センターへ送付する。
女性の場合はどうするかは男性には知らされていない。

この際、パートナーの希望を伝えることができる。
例えば、身長155センチ以上とか、
ぽっちゃり型がいい、学歴は大卒以上、
ハゲ可、音楽の才能あり、などなどだ。

ここが、BCの時代の「婚活」で
相手の条件をつけていたところ
と近いところかもしれない。

パートナーの希望を添えて精子を送付すると、
だいたい1年ぐらいで
「赤ちゃんが誕生しました」との連絡が来る、
言い忘れたが、赤ちゃんの男女の希望をすることもできる。

一連のやりとりの中で、
パートナーや赤ちゃんと実際に会うことはなく、
画面越しにあやしたり、話をするだけだ。

大学のリポートで、BCの時代について調べて、
今の時代とのあまりの違いに驚いた。

いろんな人と、画面越しではなくて
実際に顔を合わせてある種の共同生活をしなくてはいけない
時代に僕が生まれていたら、息苦しくて窒息していたかもしれない。


この文章はフィクションです。
私と関係がある、あるいは関係のない、
組織や団体、個人の意見を示すものではありません。

Share Button

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA