「思いがけないオファ」小説

それは、恩師からの1通のiMessageだった。

金曜の午後、仕事をしている稀崎のiPhoneに、
昔、稀崎が新人時代に
お世話になった近藤優一からのメッセージが届いていた。
近況を尋ねる内容とともに、
稀崎の乗っているクルマについて、関心があるという
意味のことが書いてあった。

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稀崎のクルマは、もう10年以上になるクルマだ。
とはいえ、手入れはしっかりしており、興味がない人が見れば
流石に新車とはいかないが、数年経過した具合のクルマに見える。
一部、いわゆるマニアには人気のあるクルマである。
近藤は以前から稀崎のそのクルマに興味があるということを
言っていたが、今回届いたメッセージは
遠回しに、稀崎にそのクルマを譲る気があるかを尋ねる内容であった。

稀崎はもちろんそのクルマに愛着があるが、
お世話になった近藤のもとでかわいがってもらうのもいいかもしれない、

クルマが変われば、新しいクルマ選びや、そのクルマとの生活で
また情熱がよみがえるであろう。それがクルマ好きというものだ。

近藤と一緒に、クルマで出かけるという新しい楽しみも生まれるかもしれない。

仕事帰りに、時々寄るカフェでカフェモカを飲みながら、
そのような有り得る未来について稀崎は思い巡らした。

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