【小説】想定外の連絡

「マジかよ、、、」

稀崎佳輔はハードな1週間を送っていた。
早朝、A県庁へ登庁し、自席で
ものすごい速さで仕事を処理した後、
通勤ラッシュが始める頃になると
出張で庁舎を跳び出していく、という毎日だった。

「人遣いが荒すぎる、、、」

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11月、12月は仕事が特に立て込んでおり、
神経を使う、繊細で細かい仕事が山積している。

そんなハードでタフな一週間を
ノーミスで切り抜け、
少しホッとできるはずだった
金曜の夜。

過日、会食をした相手からiPhoneにメッセージが。
「陽性判定が出た。君も濃厚接触者に該当する」

稀崎は、翌週の月曜日に年内最大の仕事の山場を抱えていて、
そのために平日の夜中、土日も準備していたが、
濃厚接触者ということで、その仕事があっさり飛んでしまった。

コロナのせいで、部活動の大会がなくなった、
卒業式がなくなった、どうしてくれるんだ、的な報道を
一時期、よく見かけたが、
稀崎は、努力していたことや準備がフイになったとしても
「マジかよ、、、」とは一瞬、思うものの、
恨めしいと思ったり、悔しいと思ったりすることは特にない。

そうか、と起きた事実を淡々と受け止めるだけだ。

「しばらく自宅で隔離生活か。たまっている論文でも
読むことにするか、、、」と考えながら
マグカップのカフェオレを口にした。

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